味覚障害とは
味覚障害にはいくつかの原因がありますが、大きく2つに分類されます。味を伝える神経の直接的な障害による『一次性味覚障害』と、他に原因が存在して味覚障害を生じる『二次性味覚障害』に分けることができます。
『一次性味覚障害』は味覚に関する脳神経の一つ、顔面神経が障害される場合に起きます。病気としては中耳炎、顔面神経マヒ、聴神経腫瘍などがあります。また脳の血管病変や腫瘍性病変などによっても起こる可能性があります。
『二次性味覚障害』は薬剤性味覚障害、亜鉛欠乏性味覚障害、特発性味覚障害、口腔疾患、全身疾患に伴う味覚障害などがあります。
耳鼻咽喉科専門医による鑑別診断が必要です。血液検査や場合によってはMRI検査なども必要になります。
味覚障害の症状
●食べ物に味がない
●いつも口の中に味(酸っぱい等)がする
●「味付けが濃い」と言われる
●チョコレートが甘くない
●食事をすると薬臭い感じがする
●食事がまずい
味覚障害の原因
- 薬剤性味覚障害
- 原因となる薬剤はさまざまですが、主なものとして降圧利尿薬、冠血管拡張薬、肝治療薬、抗生物質、抗がん薬、インターフェロンなどがあげられます。
- 亜鉛欠乏性味覚障害
- 亜鉛が欠乏すると食欲不振、成長不全、皮膚病変などさまざまな症状が出現します。味覚障害もその一つです。味覚において亜鉛は必要不可欠で、味蕾(みらい)の中にある味細胞の再生を促します。一般的には血清亜鉛値は70μg/dl以上が正常値とされています。
- 特発性味覚障害
- 血清亜鉛値は正常範囲内で、他にはっきりとした原因が特定されない味覚障害です。潜在的な亜鉛低下が関与している可能性もあると言われています。亜鉛製剤の内服補充療法で改善する場合があります。
- 口腔疾患
- 舌炎や舌カンジダによる舌苔など、口腔内の局所的な病気で味覚障害となります。
- 全身疾患に伴う味覚障害。
- 味覚障害に関連している全身疾患は、糖尿病・貧血・肝臓疾患・腎臓疾患・胃腸疾患など多岐にわたります。また、過度なダイエット・うつ病・ストレスも味覚障害の原因となります。
治療
味覚障害の原因を特定し、その原因に応じた治療が優先されます。亜鉛欠乏性味覚障害と診断された場合は亜鉛の内服補充療法が行われます。特発性味覚障害の中には、潜在的な亜鉛不足の可能性があるため、血清亜鉛値が正常範囲内でも、やや低値の場合は、積極的な内服補充療法が勧められています。治療期間は年齢と共に時間がかかると思っていただいた方が無難です。3カ月がひとつの目安とお考えください。味覚障害も他の病気と同様で、発症早期に治療すれば治療の効果が高いとされていますが、内服補充療法での効果が認められない場合があるのも事実です。『味気ない生活』にならないよう、味覚の異常に気がついたら早めの受診をお勧めします。