滲出性中耳炎
鼓膜の奥の中耳腔という部屋に滲出液という液体がたまる病気です。中耳の粘膜の炎症と耳管の働きの低下があると、粘膜からしみ出た滲出液が中耳腔に溜まるようになると考えられています。子供では3歳頃~10歳頃までに多くみられます。子どもの難聴の原因では一番多いものです。
Q&A
- どうして滲出性中耳炎になるのですか?
- 一番多いのは急性中耳炎が十分に治りきらずに、鼓膜の内側に膿が滲出液となって残ってしまう場合です。通常、中耳炎の膿は中耳の粘膜から吸収されたり、中耳と鼻の奥をつないでいる耳管を通って喉の方に排出されます。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気や、喉に慢性の炎症があったり、アデノイドが大きい場合などでは、耳管の働きが悪くなり、滲出性中耳炎になりやすいです。滲出性中耳炎で中耳に溜まっている液体は、中耳の粘膜からしみ出たものです。鼓膜に穴が開いていないかぎり、水泳や洗髪で耳(外耳道)に入った水が中耳にまで入る事はありません。
- どのような症状がでるのですか?
- 急性中耳炎と違って、強い痛みや発熱を伴わないのが滲出性中耳炎の特徴です。難聴が唯一の症状であることも多く、難聴の程度も軽い場合が多いので気付くのが遅れてしまう事も良くあります。難聴は、日常生活ではテレビのボリュームを上げる、呼んでも返事をしないなどで気づかれます。
- どうやって診断するのですか?
- 鼓膜の状態をみたり検査の結果によって診断します。鼓膜を通して中耳に溜まった液体を確認できることもあります。
- どのような治療をするのですか?
- 治療は
①中耳にたまっている滲出液をなくして聞こえを良くするための治療
②耳に悪い影響を与えている鼻や喉の病気に対する治療
を並行して行う事が大切です。
聞こえの状態が悪い場合は、鼓膜を切開して中に溜まっている滲出液を吸い出す鼓膜切開術を行い、聞こえの改善をさせます。病気の程度が軽い場合には薬による治療や、鼻から耳に空気を送る耳管通気〈じかんつうき〉という処置を行います。たびたび滲出性中耳炎をくり返す場合は、鼓膜にチューブを入れる手術が行われます。
- 滲出性中耳炎は治りますか?
- 適切な治療を受ければほとんどの場合は治ります。ただし、治療には時間がかかる場合も多く、根気よく通院する必要があります。不十分な治療などのために、あとで入院手術が必要になる【癒着性中耳炎】、【真珠腫性中耳炎】になってしまう事もありますので放置する事は避けてください。